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有藤先輩
今まで先輩に嫌がらせをたくさんしてきました。
優響先輩の一番近くにいて、優響先輩を独り占めする有藤先輩が嫌いでした。
優響先輩が優しく見つめるのはいつも有藤先輩で、優響先輩は私なんか見てくれませんでした。
私が優響先輩に書いた手紙を、有藤先輩に渡してもらうように頼んだことがありました。
有藤先輩は、覚えているでしょうか?
あの時の優響先輩は私には目もくれず、私から有藤先輩を引き離しました。
それが総ての嫉妬の始まりです。
ある日、いつものように有藤先輩の靴箱を開けようとしていた所を、優響先輩に見付かりました。
優響先輩は、私を怒るわけでも非難するわけでもなく、ただどうしたらこんなことをやめてくれるのかと聞いてきました。
私は有藤先輩のように、優響先輩を独り占めしたいと言いました。
でも、私には優響先輩を独り占めすることは出来ませんでした。
近くにいてくれても、優響先輩が見ているのは有藤先輩でした。
優響の心にいるのは、いつも有藤先輩でした。
それでも、いつかは私のことを少しでも見てくれるかもと、期待をしていました。
一緒にいれば、いつか私を見てくれるかもと、期待をしていました。
でも優響先輩からもう気は済んだか聞かれた時、気付きました。
優響先輩は、最初から私のことなんて見ていなかったんです。
そして、目が覚めました。
これ以上、惨めになりたくない。
今までたくさんの嫌がらせをしてしまい、申し訳ありませんでした。
そして、有藤先輩の邪魔ばかりして、ごめんなさい。
許してもらおうなんて、都合の良いことを思ってはいません。
ただ、謝ります。
本当にごめんなさい。
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