急転直下

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 この手紙が届いたことは、誰にも言ってない。  今までの挑発的な物とは違い、手書きで丁寧に書かれていた手紙だったから。  顔を見れば覚えてるけど、名前も知らない子。  そんな子が、アタシに充てた手紙。  これは恐らく、本心で書いた物だと思う。  これだけでなく、今までの物も全て本心でアタシに充てた物だと思う。  けれど、今更アタシがあれこれ詮索する必要はないと感じた。  これが全てだから…  この手紙のことは、誰にも言うつもりはない。  それが正解なのか不正解なのかは分からない。  だけど、あれ以来ふと思うことがある。  アタシにとって、優響はどんな存在なのか。  もし、あの子と立場が逆だったら、アタシはどうしたか?  多分、どうもしない。  出来ないと思う。  アタシよりもあの子の方がアイツを思ってるからそうしたわけでもないし、アタシの方がアイツを思ってるとも限らない。  恋愛って難しい。  好きな気持ちは大事にしたいけど、やり方を間違えてしまうと陥ってしまう罠…  でも、それだけ人を好きになれるってすごいことだと感じた。  アタシは、全部が中途半端な気がする。  今までは、ひとりでも平気だと思ってた。  ずっと、ひとりだったから…  でも、アイツと出会ってひとりじゃなくなった。  それでもまた距離を置くようになって、またひとりになった。  だけど、前と違って今はひとりじゃない。  アタシには支えくれる友達がいる。
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