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アイツが東京に行ってしまえば、あきらめがつくような気がする。
「どうせ今だって離れてるみたいなもんだし、同じじゃん?」
アイツとアタシは最初から離れる運命だったんだよ。
だから、どうしようもないじゃん…?
「私、花恋ちゃんの事が大好きなの。だからこの際ハッキリ言わせてもらうね?」
由芽の表情が険しくなり、真剣な眼差しでアタシに問いかけた。
アタシは由芽の勢いに押され、ただ頷いた。
「花恋ちゃんにとって、私って何なの?」
「え?」
由芽の予期せぬ言葉。
アタシは由芽を見上げた。
「何か起きるといっつもひとりで抱え込んで、辛いクセに平気な顔してるでしょ?顔で笑って心で泣いて?イマドキそんなん流行んないから!古風な日本女性気取ってないで、相談してくれれば良いじゃん?何が辛いとか、どうしたいとかいろいろあるでしょ?」
由芽はここまで息も吐かず、一気にまくし立てるように言った。
そして、急にアタシの机をバンと勢い良く叩いた。
「私は今まで、花恋ちゃんに何でも話してきたよね?花恋ちゃんが言ってくれたら、私は何でも協力するつもりでいるんだからね!」
「由芽、ありがとう。でも、もう無理だよ…」
そう言ったら、アタシの目からは自然に涙が滲んできた。
ヤバい、ここで泣くわけにはいかない。
アタシは必死に涙を止めるため、目をギュッと瞑った。
「花恋ちゃん、そのままで良いから聞いてね…」
由芽は小さな声で言った。
「サキちゃん、ずっと花恋ちゃんを見てる。今も心配そうに見てるよ。サキちゃんてさ、いつも花恋ちゃんのこと、見守るように見てるんだよね。だから、絶対花恋ちゃんを嫌いになったわけではないと思う。花恋ちゃん、無理なんて言わないで?絶対何か理由があるはずだから…」
由芽がそう言った時、先生が現れて授業が始まった。
アタシはいつも以上に、授業に集中することが出来なかった。
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