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「花恋、俺の胸貸すから泣きに行くか?」
授業が終わると、悠成が突然アタシに言った。
「は?」
アタシは座ったまま、悠成を見上げた。
「ここで俺が花恋を抱きしめたり、髪を撫でたりすれば、間違いなく響ちゃんは俺に殴りかかってくると思う。俺はケンカで響ちゃんに勝てる気がしねぇから、響ちゃんの目が届かないとこに行こうぜ!」
悠成はそう言って、アイツの方を見てニヤッと笑った。
「花恋、弁当?」
「今日は購買で買う」
「じゃあ、購買行って外ベンチで一緒に食おうぜ!5時間目、選択じゃん?そのまま行っちゃおーぜ」
「え?何で?」
「いいから、いいから!」
悠成は強引にアタシの手を引いた。
チラリと友香を見ると、由芽とふたりでアタシに手を振っていた。
何か仕組まれている感じがしたが、悠成に言われるまま購買に行った。
購買でお昼を買って、外ベンチではなく屋上に行った。
「何で屋上?」
悠成に訊ねる。
「いいの。いいの。響ちゃん、外ベンチだと思ってるだろうから、心配させてやろうぜ」
屋上のベンチに座ると、悠成が両手を広げた。
「花恋~、Welcome!」
「いや、いいよ」
「遠慮しなくていいのに。響ちゃんより俺のが、抱かれ心地良いと思わね?」
「うん、思う!悠成のが女子の扱い上手いし、大事にしてくれそう~」
アタシは笑いながら答えた。
「やっと笑ったな?お前は何も悪くねぇんだから、堂々としてろよ?」
アタシは力強く頷いた。
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