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久し振りの屋上。
今まであったことを思い出しながら、お昼を食べた。
「アタシ、悪くないのかなぁ?本当に何もしてないんだよね?」
ふと思ったことが、本当に何気なく、心から零れていた。
「花恋は何も悪くねぇよ。悪いのは、ぜ~んぶ響ちゃんだ」
悠成はそう言って、力強く笑った。
「アイツさ、アタシのこと好きだって言ってたんだよ?アタシから逃げないって言ってたんだよ…でも、フラれちゃったよ…」
アイツの愚痴を言ってるつもりだったのに、何でだろう?
涙が溢れてきたのだ。
今まで誰にも言えず、閉じ込めていた思いを初めて吐き出した。
アイツの近くにいる悠成に、こんなこと言って良かったのだろうか?
つい出てしまった本音と、本音と一緒に溢れた涙…
アタシは悠成に背中を向けて、静かに泣いた。
「花恋には理解できねぇかもしんねぇけど、響ちゃんなりに花恋から逃げない選択なんだよ。俺もぶっちゃけ理解できねぇけどな。ただ、響ちゃんはマジで花恋のこと大事にしてんだよ。フッたワケじゃないと思うしな」
悠成の言ってる意味が、よく分からなかった。
こんな状況が逃げない選択?
こんな状況なのに、大事にしてる?
フッたワケじゃない?
いやいや、フラれてるでしょ?
「やっぱり、遊ばれてただけなのかもね…」
「花恋、マジでそれはない。響ちゃんが何考えてるのか分かんねえかもしんねぇけど、響ちゃんなりに花恋を思ってのことだからさ。だから、お前は堂々としてりゃいいんだよ」
そうは言われても、アイツには彼女いるし…
悠成はアイツとアタシに何があったか知らないから、そう言えるんだよ。
だからアタシのこと思ってるなんて聞いても、納得なんか出来ないよ。
そうだよ。
アイツが何も言わない限り、納得なんか出来るわけないんだよ。
「もういいや。何か話したら少し楽になった。アタシも彼氏作るぞ!」
悠成は笑って、その調子って言ってくれた。
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