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5時間目は悠成とそのまま書道室に行った。
気持ちを少し吐き出したせいか、筆の滑りも良く気持ちよく書けた気がする。
「あ、今日は珍しく雑念がないですね。何か吹っ切れましたか?」
「あははっ…」
「はい。今日は良いですよ」
書道の先生にも褒められた?
吹っ切れた?
そうそう!アイツなんか、もうどうでも良いし。
「決めた!アタシ、彼氏作る!」
片付けをしながら、悠成に宣言する。
「何だ?急にどうした?」
悠成が苦笑いしていた。
授業が終わり書道教室を出ると、アイツが廊下で待っていた。
壁に寄り掛かり腕組みをして、不機嫌オーラ全開でこっちを見ていた。
その姿を見た時、アタシの全身には衝撃が走った。
心臓には針を刺されたような痛みが走った。
それでも、久し振りにアイツを見たような気がした。
「おい」
アイツがこっちを見ながら言った。
アタシは悠成に先に行くねと声を掛け、アイツの前を通り過ぎた。
「おい、待てって」
アタシが振り返ると、アイツはアタシの手を強く握り、その手を引っ張るように歩き出した。
振り返って悠成を見ると、悠成は穏やかな微笑みを浮かべガッツポーズをしていた。
は?
そのガッツポーズは何?
それより、何でアイツがアタシに?
しかも、超絶不機嫌だし…
それなのに、アイツに握られている手に意識が集中してしまう。
吹っ切っろうと決めたつもりでいたはずなのに、まだこんなに動揺してる自分がいる。
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