もう九腸寸断でしかない

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「分かんないよ!何も言ってくれないじゃん。アタシから逃げたんじゃん?優響だって彼女いるんだし、アタシが誰と何してようが優響には関係ないでしょ?」 「俺には関係ないって、本気で思ってる?」  優響はそう言って、ねじ伏せるような強い視線を投げかけた。  だけど、優響のその目は哀しそうに揺れていた。  アタシのこと捨てたくせに、そんな目で見ないでよ。  アタシの気持ちが揺らぎそうだよ。  でも、もう決めたから… 「思ってるから言ってんの!優響のことはもうあきらめるって決めたから。だから、アタシの気持ちを惑わせるようなことしないでよ。アタシも彼氏作るから、もう放っと…」  いてよ…  そう言いたかったのに、アタシの言葉は最後まで発することは出来なかった。    アイツが突然アタシの顎を持ち上げて、唇を重ねてきたから…  あきらめるって決めたのに、そう言ったのに、何で?  いつもそう。  何の前触れもなく、アタシを惑わせる。  それなのに、アタシはどこかでこの男を待っている。  アイツが全身から発してる不機嫌さとは裏腹に、そのキスは優しくてアタシの不安を全て包み込んでくれるようだった。  しかも、長い…  それから少し経って、優響の唇がゆっくりと離れた。  そして、優響はじっとアタシを見つめた。  アタシは今、どんな顔をしてるんだろう?  優響にキスされて見つめられて、身動きが出来ない。  ただ心臓の動きは速くなり、体中の血液がスゴイ速度で流れているような気がする。  苦しくて、切なくて、でも期待もしている。  ただ、されるがまま、優響に全てを委ねていた。  優響は溜息混じりに笑って、アタシを引き寄せるように抱きしめた。
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