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その業は決して許される事ではない。故に三條さんは見下していた人へと生まれ変わって、不幸な人生を与えられた。
その中で懸命に生き、業なる罰を受け入れて罪を背負って生涯を生き切る。
そうすれば、次の世ではまた変わった転生があるとララは知っていた。
『罪と罰』がない真っ白な状態で生まれ変わる事が出来るのだと知っていたのだ。
そこで、俺の存在だ。俺の不注意とはいえ、自らの生涯を自らの手で絶つという業を再び背負おうとした三條さんを救ってくれた事に、ララは深く感謝したというのだ。
三條さんとしての人生も残り僅か、三條さんとしては幸薄い人生だったかもしれないが、彼女の魂はどんな人生だとしても懸命に生きることこそ、輝く。
例え人より不幸でも、運がなくとも、支えや孤独、闇を背負おうとも光は射す。
どんなに業深き者でも、来世は変わる。明るい未来が待っているのだと……ララは語った。
「だから私はあなたに感謝をしているの。もちろん、あなた自身も生涯を生ききれなかったという想いはあると思う。でも、誰かの為に身を呈して助けようとした経緯は……例え、どんな状況であろうと変わらない。そんなあなたには絶望に飲まれてほしくなかった」
「絶望?」
「そう、絶望。絶望に飲まれると、転生はあり得ない。その世界で、彷徨い続ける羽目になる」
ララの言葉を直ぐには理解出来なかったが、次なるララの言葉を聞いて納得した。
「絶望に飲まれれば……地球で言う幽霊として彷徨い続けるの。それも、悪霊として負の感情を撒き散らして、更なる業を魂に刻んでしまうのよ」
俺は、彼女を、友達、両親にさよならの挨拶すら出来ずに終わりを迎えた。
その事実は、俺を闇に連れていくには十分な過程だ。
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