22人が本棚に入れています
本棚に追加
何か色々と誤解をしているようだが、このお話はそんな終わりかたではなかった筈だ。正直者に斧を渡した後、確かに違う誰かがやって来るのだが……誤解というより色々と話が混ざっているのかもしれない。
俺は悲壮感を演じて、それを訂正すべく知っている限りの知識を女性に伝えた。その中でも金の斧と銀の斧は……アニメではなく、昔話であるということを。
「えっ? そうなの!?」
女性は驚愕とした表情を見せた。そんなに驚かなくてもいいと思うのだが、得意気に話していたというのにそれが間違いとまではいかないものも、微妙にずれていたとしたら気恥ずかしい物かもしれないが。
「いや……俺の知らないところでアニメ化されているかもしれないですね。昔話だって、漫画とかと似たようなもんですし」
それとなくフォローをしたつもりだったが、俺の声は彼女には届いていない。
変わらず愕然とした面持ちを見せる女性は、「わたし、知ったかぶりだった? ほんと?え、あ、やばー!わたし、やばー!」と騒ぎ始め、徐々に頬が赤く染め上げられていく。
勘違いしていたことが、相当恥ずかしかったのだろう。
「ごめん、ちょっと恥ずかしすぎるので……わたしは帰るね」
ん、帰るね?
明らかな動揺を見せている女性は、帰宅を宣言すると踵を返し湖に戻っていく。……って、ちょっと待って!
何も状況が分からぬまま、このまま置き去りにされては敵わない!俺は急いで女性の後を追った。それは無我夢中であったが為の行為であるのだが、俺はまた同じ轍を踏むことになる。
最初のコメントを投稿しよう!