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叶わない
あなたの指に光るものが眩しい。
羨ましいといい、指先を見せてくれた。
それに僅かに顔が写った。
そこには、絶望感を隠せない自分がいた。
顔を上げる前にそんな表情をしているのを見せたくなかった。
でも、あなたは気づかないでしょう。
あなたは、あの子しか見えていない。
私は、あなたしか見てなかった。
だから、早くに気づいてしまった。
その事実に。
そんな事を気にせず、告白すればよかった。
でも、自分なんか……。
あなたは、クラスでも明るい存在。
私は、ただの幼なじみ。
ただ、そんだけだった。
何も、言えず卒業した。
『次に、会う時は結婚の報告だからな。』
と宣言したあなたは本当に報告してきた。
でも、あの頃と同じように話ていると自惚れてしまいそうだ。
あの子のような恋人にはなれなかった。
こんな風に今でも話せて嬉しいとあなたは言う。
『さすが、幼なじみだな。』
この関係を崩したくない私は、嘘をいう。
「私も」と……
<完>
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