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「拓巳さんは何が食べたい?」
と聞かれて思いっきり悩んでしまう。
シチューもいいしハンバーグも捨てがたい、魚は苦手だったが、年齢の所為か最近は魚も好きだし、特に愛子の白身魚の餡掛けは好物だった。
真剣に唸っていると愛子が笑いながら言う。
「そんなに悩む?今日から順番に作ろうか。それなら悩まなくていいでしょ?愛実も来るから今日はグラタンとハンバーグとちらし寿司に、お刺身と白身の餡掛けと煮物でどう?」
「え?大変じゃないか!」
驚きながら言う。
「お刺身は出来上がったのを買うし、子供達もいますからね。散らし寿司と煮物は詩織さんと咲子さんが手伝ってくれますよ。昼過ぎには来るって話でしょう?」
「…そうだった。」
くすくす笑いながら、早く帰ろう、と拓巳の手を引っ張った。
約束通り、優一の妻の詩織と秀一の妻の咲子は昼過ぎにやって来た。
エプロンを持参して愛子と台所に立ち、手伝ってくれた。
4時には愛実が来て、唐揚げとかき揚げを作って来たと台所に参加した。
その頃にはお嫁さん二人には休憩する様に愛子が言い、ダイニングに座っていた。
愛実も久し振りに甘えられる母親に優しい表情を見せて、嬉しそうで、拓巳も笑顔でそれを見ていた。
5時を過ぎて優一が来て、少し時間を空けて秀一も到着し、秀一と愛実の子供達と旦那の圭介君も来た。
賑やかな家族団欒が始まった。
何年振りだろうか。
今までも子供たちは頻繁に来てくれていた。
少しでも拓巳の負担を軽くする為に、時間をずらし、日付けをずらして訪れてくれていたから、一同がこうして顔を合わせるのは本当に久し振りだった。
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