80

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もうすぐ80歳を迎える愛子は元気だった。 去年の梅雨明けに「拓巳さん」と呼び始めてから一度も「誠一さん」とは呼ばれていない。 夏休みに帰って来た愛実も、秀一も元気振りに驚いて、 「母さん…驚くほどのハイパーばばぁだなぁ。」 と秀一が言い、立っていた秀一の尻を叩くという事もあり、同居の為の引っ越しはのんびりで良いなぁと呟いていた。 お正月、優一家族が泊まりに来て、夏休みを利用して秀一が越して来る予定だよと話して、 「それならお正月にお邪魔するのも今年が最後だね。」 と優一が言うと、愛子はぎゅうぎゅうで良いから一泊くらいしなさい、と寂しそうに呟いていた。
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