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「愛子からさ、お酒でのミスっていうの?恐怖っていうの?聞いていたからさ、酔い潰れた彼女を送るのに家を知ってる男性は止めようとか考えてたら、お酒飲めない素面の女性がいてね。家知ってるっていうから同乗してもらったんだけど…。」
「……うん。」
(ここにも女の影かぁ…。)
苦笑しつつ頷く。
「それが大山さん実家でさ。」
「実家?」
驚いて拍子抜けした。
「そう、しかもタクシーで1時間!」
「往復2時間?」
また驚いた。
それは遅くなるはずだと納得もした。
「素面の女性ね?タクシー譲ろうとしたら、家そこなんですって。まぁ、助かったけどね?」
「つまりは、彼女は酔い潰れた大山さんを見て自分の家の近くと知っていて便乗したと…。」
「そうなるね。最初に言ってくれたらお金だけ渡して二人でタクシーに乗せたのに…。実家だからインターホン押せば父親もタクシーまで手を貸しに出て来てくれるだろうしね?そこまで気が回らなかったにしても、彼女もエリアマネージャーだろ?エリアマネージャーを任される人が素面で気が回らないていうのもどうかと帰りに考えた訳だ。愛子、どう思う?」
「仕事として聞きたい?女の意見がいい?」
微笑んで言うと拓巳は愛子をジッと見た。
「怖いな。どっも聞きたいけど…愛子の意見がいい。」
「そう?じゃあ、最初に言うわね?怒ってないしヤキモチも妬いてないからね?」
「えっ?そういうあれなの?」
拓巳の表情に愛子は呆れた顔を見せた。
「本当、鈍いわね。大山さん、仕事の相談かもしれないけど別に相手は拓巳さんじゃなくてもいいの。それは後付けの話をする為の理由。今日相談して、ありがとうございます、また相談してもいいですか?とか言って今度はラインでも聞かれて、別日に呼び出されるわよ。」
「えっ!!おじさんだけど?アラフォーだよ?」
目を丸くして言う拓巳に見えませんよ、と強めに言う。
「それから素面の彼女?エリアマネージャーまでしてる人が素面で気が回らなかった、訳ないでしょ?」
「えっ?」
「二人きりじゃないけど、一人は酔い潰れていて、狭い車内に三人で乗ったらぎゅうぎゅうでしょ?くっ付くわよね?好きな人とくっ付いたら嬉しいわよね?チャンスもあるかもしれないわよね?うちそこなんです。寄って行きませんか?声掛けられるじゃない。」
「えっ?!」
拓巳は青い顔で呆然としていた。
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