大山早苗

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それから一週間程して、その日は一人で昼休憩に入り、休憩室でお弁当を食べていた。 20分程して、お弁当を食べ終えるか、という当たりで休憩室のドアが開いた。 大山が顔を出して部屋に入って来たので、愛子は驚いて停止してしまっていた。 そんな愛子の顔をジッと見て、大山はツカツカと愛子の前まで歩いて来た。 それを見た瞬間に愛子は、大山が大した用もないのに頻繁にここへ来るのは、自分と二人になれるタイミングを狙っていたからかもしれないと考えた。 それが正解だと確証出来たのは、座ってすぐに大山が口火を切ったからだった。 「笹嶋さん、再婚ですよね。」 こんにちは、も、少しいいですか、という前置きは何もなく、驚きはしたがツカツカ歩いて来て急いで座った様子を見て、時間がないと判断したのだと考えて、平静を装った。 「ええ、そうですよ。」 と笑顔で返した。 「藤代さんとおいくつ違うんですか?大変じゃないです?年齢差あり過ぎると…。別れたくなったりしませんか?」 ふぅ、とため息を吐いてから愛子は箸を片付けて前を向いた。 「そんな事聞いて…今後の参考ですか?年齢差がある方とお付き合いでもしているの?残念だけどケースバイケースで参考にはならないと思いますよ。」 淡々と答えると、不満気な顔を愛子に向けた。 「参考にはなります。いえ、笹嶋さんじゃなければ参考にはならないんです!」 キッパリと言い、その目は愛子を睨み付けていた。 お弁当箱を閉めて片付けながら、愛子もゆっくりと話す。 「それは、藤代を好きだって言ってる?違ったらごめんなさい。」 「言ってます!その通りです!いい機会なので言わせて戴きますね。藤代さん、本社でモテてました。海外勤務から戻って女子社員注目でした。誰が誘っても全然興味なさそうで、彼女がいる、みたいな事を聞いた子もいました。急に結婚です。入籍しました。それがこんな年上。」 そこで言葉を詰まらせるから、失礼だな、と思いながら愛子は顔を上げた。 「あなたが藤代を好きでも、ごめんなさい。私には関係がないしどうにも出来ないわ。あなたに頼まれて離婚も出来ないし、譲る事も無理ね。そもそも藤代は物ではないし私の所有物でもないの。」 淡々と愛子が話すと、その無言の圧に押されて大山は少し怯んだ。
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