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「愛子?何このゲーム。」 「メインを懸けて行きますよ?」 愛子は拓巳を無視して話を続ける。 「大山早苗と何処で会ったの?香水の匂いが付く程!」 「え?何で分ったの?」 ちょっとクラッとして、ハンバーグを渡した。 「愛子、何か勘違いしてるけど、二人きりじゃないよ?今日はエリアマネージャーの会議で帰りに声を掛けられて、雨が降ってただろ?大きな店舗に寄って帰る事になってて、そこに行くって言うから二人、同乗させたんだ。助手席には乗せてない。」 「うん、まぁそんなとこだろうな…とは思ってた。ちょっと気になっただけ。」 拓巳は自家用車で通勤している。 だからそんな事だろうとは思っていた。 愛子の想像では、何か理由を付けて拓巳の車の助手席に乗せてもらったんだろうと考えていた。 それよりは、一人ではなく二人を後部座席に乗せた、と言うのはまぁ良いと思えた。 が、後ろに乗せただけで、ここまでワイシャツに匂いが付くとは思えなかった。 「愛子?なんか怒ってる?」 聞かれて首を振る。 「ううん、ごめん、ちょっと意地悪した。食べて?お腹空いてるでしょ?」 拓巳が嘘を言っていない事は分かっていた。 だとしたらこれは大山の罠になる。 愛子がワイシャツの匂いに気付いて、拓巳を責め立てて怒るのを期待しているのだ。 (後部座席に座って、匂いをあそこまで付けるって、何かしたんだろうな。) その何かの心当たりがないかを聞こうか、止めようかを考えていた。 「どうかした?大山さんとは二人にならない様に気を付けてるけど。」 愛実に言われた事を拓巳も気にしている様だった。 「ううん、拓巳さんは仕事、集中して?ごめん、本当に何でもない。仕事でいろいろあって、腹が立ってたのかな?情けないわね。」 愛子も食事を始めて、お茶を淹れて食事中の拓巳の前に置いた。 右手の甲を拓巳は見つめていた。
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