【台本】最悪のエンディング

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
男:2 女:1 魔王城 ユアン:「ついに来れたな、魔王城……!」 ナナリー「そうだね、ユアン……。ね、手を出して? 魔王と戦う前に、いつものおまじないをしておきたいの」 ユアン「ああ、頼む」 【手錠をかける音】 ナナリー「ユアン確保! これで私の願いが叶えられる!」:嬉しそうに ユアン:「ナナリー!? どういうことだ!」 魔王:「ナナリーよ、ユアンを捕らえたようだな」 ナナリー「えぇ、このとおり! お願いよ、約束通り村を……皆をよみがえらせて!」 ユアン:「目を覚ませナナリー! 死んだ人間はよみがえらないんだ!」 ナナリー:「黙りなさい人殺し! あの時あなたがモンスターを追わずに村に残ってたら、村のみんなは助かってたんだから!」 ユアン:「それは……」 魔王:「ふっ、仲間の負の感情に気づきもしないで勇者とは、笑わせてくれる。ナナリーよ、ユアンをその木に縛り付けて私の前に来るがよい」 ナナリー「はい、魔王様!」 ユアン:「やめろ、ナナリー! いくら魔王が強大な力を持っていようが、人をよみがえらせるだなんて……っ!?」 【ナナリーがユアンの頬を叩く音】 ナナリー:「見殺しにしたくせに、知ったような口をきかないで!」 【ナナリーが魔王の前まで歩く音】 ナナリー:「約束よ……。さぁ、皆を生き返らせて!」 魔王:「あぁ、約束を果たそう」 【魔王がナナリーを刺す音】 ナナリー:「ぐはぁっ……!? なん、で……?」 ユアン:「ナナリー!!!」 魔王:「いつ誰が、村の連中を生き返らせると言った? 私は村の連中に合わせてやると言ったんだ。まぁ、この世ではないがな」 ナナリー:「そんな……」 魔王:「ふ、馬鹿な女だ」 ユアン:「ナナリー!クソ、お前だけは許さない!」 魔王:「なぜ怒るのだ? あの女に騙されてそのザマだというのに」 ユアン:「うるさい! それでもナナリーは、俺の大事な仲間なんだ!」 魔王:「まったく、人間とはどこまでも愚かだな。だからこそ、こうして最高のエンディングを迎えられるのだが」 ユアン:「なにが最高のエンディングだ! ふざけたことをぬかすな!」 魔王:「貴様にとっては最悪のエンディングだろうな。信じてた仲間に裏切られ罵倒され、こうして抵抗も出来ないまま死んでゆくのだからな」 ユアン:「くっ……!」 魔王:「せめてもの情けだ、ひと思いに殺してやろう」 【魔王がユアンに大剣を刺す音】 ユアン:「ぐあああっ!!」 魔王:「これでようやく邪魔者はいなくなった……。この世界は私のものだ!」:声高らかに
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!