~戸惑い~

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~戸惑い~

これと言って取り柄なんて無かったけど、これと言ってやる事も無かったから、勉強ばかりしてきた。だから、勉強はそれなりに出来た。そのおかげで、県内有数の進学高へと進んだ。 それから僕の生活は激変していった。 中学の頃は、誰一人として相手にされてこなかったのに、やたらと声をかけてくる奴が1人いた。 其奴は、いつもクラスの中心にいて、目立ちたくない僕から見れば、周りがキラキラと光って見えた。 僕からしてみたら、今まで関わった事のない人種。だから、どう対応して良いか分からず、困った。 僕は、あからさまに怪訝な顔をしているに違いない。そうしてこれ以上僕に関わって来ないように自分にバリアを張り巡らせていた。 今までならそうする事で、僕の周りからスーっと人が居なくなってた。 それなのに彼奴は、、 懲りずに僕のところに何度も何度もやってきては、僕の中の常識を尽く壊していった。 「よぉ、ジェジュン。数学のノート貸してくんない?」 「、、、、」 無言でノートを差し出す。 僕にノートを借りてきたのは、後にも先にも彼奴だけだろぅ、、 「サンキュー」 屈託のない笑顔を向けられて、正直嫌な気はしない。 これで、マジメに勉強して来た僕よりもずっと成績が良いなんて、納得いかないんだけど。 其奴は、学級委員と生徒会を兼任していて、男女共に人気があって、ムードメーカーと言うか、クラスの中心的存在。地味で目立ちたくない僕とは全くの対照的だ。 「なぁ、ユノ一緒に組もうぜ?」 「あ、悪りぃ。俺、ジェジュンと組むわ」 「、、ぇ?」 ユノに声を掛けたクラスメイトは、ユノに気付かれないように、思いっきり僕を睨み、舌打ちしてきた。 僕はそれを、見て見ぬ振りをした。 グイグイ来られると、どうして良いか分からないから、なすがまま。 、、だから、やっぱり彼奴は苦手だ。
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