東京底辺少年

渋谷

渋谷駅から南へまっすぐ、歩道橋を超えたところに俺の大学はある。死ぬ気で走れば所要時間は3分、だが俺は歩道橋をおりて校門をくぐる時には走るのをやめた。
手元のスマホは9:31分。既に1限開始から30分を超えていた。30分越えは欠席認定。
ありがたいことにこれで再履修は王手。
俺はそのまま教室に向かう気にもなれず、一路、喫煙所に向かう。
メビウスに火をつけて、少しずつ肺に入れながらむせそうになったら口の中で煙をくゆらせて吐き出す。そして周りの煙草の持ち方を観察しつつ、摘まんでる煙草を修正。

別に誰かが見てるわけじゃないんだけど。

そう思いつつ、たばこをふかしながら大きな声で騒いでる集団の方をチラリとみてしまう。
「あれ？青山じゃん」
集団の中から金髪で濃い化粧の女が話しかけてきた。