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尊大な態度をとった彼女は、恐ろしいことに次には俺の隣に制服を着て座っていた。夢がまだ続いている、そう思った。さっきまでの様子が全くなく校庭にクレーターはなくなっていた。
先生がゆっくりと随筆の朗読している……場合じゃないだろ?! 先生もお年だと思っていたのが夢に反映しているのか、異国美女がいることに関して、誰も突っ込まないぞ!
「先生、すいません! すごく大事なことを忘れています! これは夢っすか!」
「何を言っているんだ、君は。さては寝ていたね」
先生は笑って、朗読の続きをしだした。
うららかな春の午後。じゃなくて!
「よだれがついてるぞ。全くお前はいつまでたっても手のかかる坊やだな」
頬を指さす彼女。俺は口を拭く。
「あはは、そっかー、俺やっぱ、寝てるのか」
隣の異国情緒あふれる美女が全く持って現代にそぐわない話し方をして隣で笑っている。制服が似合ってない。胸が大きすぎる。
夢だと断定して、こっそりと美女に話しかけた。
「ところで貴女の役割はなんですか?」
俺の妄想を満たしてくれるのか。とはいえ現実的じゃない。夢なら、もっと身近な日本人の女の子がいい。
美女は長い脚を組んだ。
「私はお前の妻だ。忘れたのか?」
「妻。なるほど」
俺の潜在意識はレベルの高い美女と結婚することを望んでいたとは知らなかった。夢だからいいか。
「お前、夢と思っているがこれは現実だ。私はお前の死後、異世界の扉を開けて探し続けた。探して、お前を殺した犯人を捜そうと思っている。ついでにお前にも会いたかった」
「異世界。なるほど」
転生もの流行っているからな。俺はあまり読まないけど。きっと友達のYがいつも話しているから覚えているだけだろう。
「だから夢じゃないと言っているのに」
美女はにっこり微笑んだ。そして、先生にあてられた。
「こら、海外では授業中雑談していいのか? 次の行から朗読なさい、モルディン・ガッツベイリル・山田花子」
「名前雑っ!」
「お前、私に命令できると思っているのか」
チャイムが鳴った。先生が白目になってふつうに教室出て行った。誰も何も言わない。俺は夢ながら本当に雑だとそのとき思っていた。
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