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3
が夜になって風呂入って、居間に戻ると美人が親と談笑しているのを見て驚いた。どんな設定。派手にその場にすっころんでしまう。
「かーちゃん、この人俺とどんな関係!? なんで普通に家にいんの!」
「何いってるの、幼馴染でしょ」
「はは、幼馴染の帰国子女。馬鹿いえ、俺がそんなハーレム的な設定に憧れるか」
「馬鹿はあんただよ、モルディンに失礼でしょ」
「そうだぞ」
モルディンが正座してお茶を飲んでいる。板についているな、おい。
「将来の奥さんだからいつだって家に来ていいでしょうが」
「はっ!?」
母ちゃんは俺の頭をはたいた。痛い。夢にしてはマジで痛いんだけど。
はたかれた下から美女が大きな目で覗きこんできた。
「私が妻なのは忘れているのか、修」
「うっ。だとしても格差夫婦だろうが」
と、玄関からただいまー、という女の子の声が聞こえてきた。ただいま、と聞いて不思議に思っていると小柄なこれまた美少女がやってきた。
――清楚な金髪美女が。縦ロールがすごい。
「俺は俺の願望がわからない……」
「お前ずるいぞ! 妹設定とは!」
モルディンが指さすと、妹と言われた美少女が「ふん」と言って髪をはたいた。
「あたしこそが勇者様にふさわしい。だって私のこと大好きって言ったもの」
「はあああ!? 表に出ろ、この淫乱女が!」
モルディンが、黒いオーラを吐き出して美少女の首を絞めだした。そのまま表に出ようとするので、俺は腕をとめた。
「待て待て、こんな幼い子に暴力ふるったらダメだ」
「この女はエルフのロリババアだぞ。ゆうに三百歳は超えている」
「え、そうなん」
パっと手を放す。それを見た美少女が振りほどき、俺に詰め寄った。
「ちょっと、姿さえ美しければ何でもいいって一晩イチャイチャしたことは忘れたの!?」
「知らないよ、そんなクズ男の話は、それ本当に俺?」
「制せーい!」
混乱しかけたところで、存在感の薄い父が止めに入ってきた。居間にいたのか。
母ちゃんはずっと、ご飯食ってテレビみてる。さっきも思ったけど都合悪くなるとモブが意識なくなるんだけど。
父は、美しい二人にババ抜きを提案する。
「これで勝負して負けた方は異世界に帰りなさい」
「そんなことで決着がつくわけ――しまった!」
モルディンが何かに気づく。すると、居間の周りが赤く輝き始めて空気が変わった。まるでサウナに入ったかのような。熱くないけど。
「結界が張られているようね。そして審判者であるこの男に逆らうと強制送還されかねないわ」
エルフ美女がそういう。ファンタジーあまりよくわからないからよくわからない。
父はしがない窓際族のサラリーマンだぞ。
「審判者はこの世界のルール決めできるお方。この居間も結界で区切られ、ババ抜きをして勝負しないといけない世界になった」
モルディンが緊張したように言った。
「俺は関係ないだろ」
「入ってしまったからには、仕方ない。修も参加してもらう」
「俺負けたらどうなん」
「さて、トランプを配るぞ」
俺の質問は圧倒的に無視されてトランプが父によって配られる。
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