俺、慣れてないんで

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 仕事だってそうだ。手際の良さ、目が行き届いている、さりげないフォロー、いいところをあげたらきりがない。  そんな人が自分にだけダメな部分を見せるのだから。自分には気を許しているのだと嬉しく思ってしまう。 「ただの可愛い後輩、それだけの感情だったんだ。だけどさ、百川の良さを知っていくうちにそれだけじゃ物足りなくなって、キスした時の可愛い顔をみたら歯止めが利かなくなった」  と笑う。 「わー、もうやめてください! モテるのに俺なんかに惚れて残念すぎです」 「そんなことはない。なんだかんだいって優しいお前がますます好きになった」  ぐいぐいと迫りくる千坂に、百川は一歩、また一歩と後ろへと下がる。  背中には壁があり、逃げ道がなくなってしまった。 「俺は、今まで告白されたことなんてないんです。慣れてないからドキドキするのであって」 「そこは素直に俺にドキドキしてますって言えよ」  額がくっついて息がかかる。 「あの、ここ、外なんですけど!」  キスを阻止しようとそう口にすれば、 「それなら急いでお前の部屋に行こう」  と手を握りしめた。
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