434人が本棚に入れています
本棚に追加
仕事だってそうだ。手際の良さ、目が行き届いている、さりげないフォロー、いいところをあげたらきりがない。
そんな人が自分にだけダメな部分を見せるのだから。自分には気を許しているのだと嬉しく思ってしまう。
「ただの可愛い後輩、それだけの感情だったんだ。だけどさ、百川の良さを知っていくうちにそれだけじゃ物足りなくなって、キスした時の可愛い顔をみたら歯止めが利かなくなった」
と笑う。
「わー、もうやめてください! モテるのに俺なんかに惚れて残念すぎです」
「そんなことはない。なんだかんだいって優しいお前がますます好きになった」
ぐいぐいと迫りくる千坂に、百川は一歩、また一歩と後ろへと下がる。
背中には壁があり、逃げ道がなくなってしまった。
「俺は、今まで告白されたことなんてないんです。慣れてないからドキドキするのであって」
「そこは素直に俺にドキドキしてますって言えよ」
額がくっついて息がかかる。
「あの、ここ、外なんですけど!」
キスを阻止しようとそう口にすれば、
「それなら急いでお前の部屋に行こう」
と手を握りしめた。
最初のコメントを投稿しよう!