俺はオカンじゃありません

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 その日は珍しく合コンに千坂が参加した。  いつもは声をかけても参加しないのに珍しい、そう思いながら一緒に待ち合わせの場所へと向かった。  千坂がいたら結果どうなるか、なんとなくわかっていたけれど、見事に女子の視線を奪っていく。  百川は背は高いが特に顔がいいわけでもない。声を掛けられることなどないだろう。帰ろうとしていたら千坂に声を掛けられた。  誰かをお持ち帰りするのかと思っていたのに、目の前にいるのは千坂のみだ。 「あれ、千坂さん、女の子は?」 「ん、今日は百田と飲みたい気分なんだよ」  と背中をたたく。 「えぇ、もったいない」  俺なら絶対に断らないだろう。だが、千坂は男前ゆえに女性に困っていないのだろう。羨ましい限りだ。 「ほら、飲むぞ」 「はい」  共に向かったのは小さな居酒屋だ。 「ここ、唐揚げが美味いんだって」 「唐揚げですか。いいですね」  百川が鶏料理が好きなことを知っていて連れてきてくれたのだろうか。  中に入るとカウンター席のみで、座ってビールと唐揚げで乾杯をする。 「はぁ。やっとゆっくり飲める」  思えば合コンの間、千坂さんは酒をあまり飲んでいなかった。
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