負けました

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 先に体を洗ってもらいバスルームを後にした百川は寝室へと向かうとベッドの端に座る。  とうとういたしてしまった。いたたまれなくて両手で顔をおおいかくす。 「あぁ、俺、変な声とかだしてたよな……」  それも自分から足を開いてみせていた。 「はぁ、だめだ、はずかしくて死ねる」 「ん、なに、ばかなこといってんだよ」  横向きになると腕をのばして抱きつくような格好をする。 「俺、気持ち悪くなかったですか?」  男の喘ぎ声など聞きたくないだろうに。 「いやっ、あの声だけで抜けるね、俺は」  と自信満々な顔で返された。 「うわぁ」  ところどころで残念な男だ。呆れながら千坂を見れば嬉しそうに笑っている。 「好きなやつがさ、気持ちよくて喘いでいるなら嬉しい」  そういわれて耐えきれずに枕に顔をうずめる。  今回は余裕がなくてされるがままだったが、次は自分の中に入っているときの千坂の顔を見てみたい。きっと胸がいっぱいになってしまうだろう。  顔の熱が一向に引いてくれない。 「百川、いつまでそうしているつもりだ」  首に柔らかいものが触れて顔を横に向ければ、目がすぐ近くでばちっと合う。 「ちさ……、ん」  羞恥を感じて落ち着かなかった心は千坂のキスでかきけされ、それは徐々に深く交わり、百川をとろけさせた。
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