千坂は卵が好き

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千坂は卵が好き

 八枚切の食パンに厚焼き玉子をはさんでみみを切り落とす。  そして三角に切って皿に並べる。  パンのみみは揚げておやつにするので袋の中へといれておく。 「できましたよ」  パンと一緒にオニオンスープを出すと、美味そうだと手を合わせた。 「千坂さんって卵料理好きなんですか?」  お昼に何が食べたいかと聞いたら厚焼き玉子のサンドウィッチがいいといわれて作った。 「好きだ」  思えば女子からもらったプリンを食べているとき、幸せそうな顔をしていた。  ただ甘いものがすきなのかとその時は思っていたのだが、プリンだからだったのだろう。 「茶碗蒸しとか玉子豆腐とか、頼んだ定食についてくると嬉しいよな」 「そうなんですね」  後で卵料理のレシピを見ようかなと思ったところで、はたっと我に返る。   「どうした?」 「え、いや、別に」  考えていたことなど口にできるわけがない。  調子に乗る千坂を思い浮かべ、首をふるう。 「楽しみにしてるからな~」  にやにやと笑う千坂に、 「作りませんから」  と返すが、たぶんレシピを見てしまうのだろう。
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