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「どうしてあまり飲まなかったんですか?」
「あ……、まぁ、すぐにわかるよ」
どういうことだろうと思っていたが、その答えはすぐに知ることとなった。
「なるほど、酒は好きだけど酔いやすいタイプなんですね、千坂さんって」
唐揚げは聞いた通り、すごく美味かった。そのせいもあり酒が進んだ。
そして酔っ払いが一人、出来上がったわけだ。
「すみません、お勘定」
「はぁい」
会計をすまし、店を出るとタクシーに乗り込む。
「千坂さん、住所」
「ふぁぁ、〇〇〇、××……」
ふにゃふにゃになりつつも住所を伝えタクシーが走り出す。
部屋の前にくると自分の体を叩き、鍵が見つからないと鞄の中を外でぶちまける。
「ちょっと、ここ外ですよ。俺が探しますから」
スマホのライトをつけて鍵を探すと鞄の中身を拾って突っ込む。
「鍵、俺が開けても?」
「お願い」
カギ穴に差し込むと開錠してドアを開ける。
「開きました……、ひっ」
真っ先に目に入ったのは大量のごみ袋。
そして廊下に点々と置かれた衣類。恐る恐る上へと上がりリビングへと向かうと、目の前には汚部屋があった。
「汚なっ」
思わず口に出てしまった。
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