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結局、スッキリしたこともあり、そのまま寝落ちてしまったようだ。朝起きたら身体が痛かった。
ベッドの上では気持ちよさそうに千坂が寝ている。
帰るにもカギを閉めないのは不用心だしと、起きるまで掃除をして待つことにした。
寝室にある洋服はすべてたたんでおいておき、リビングのごみと、テーブルに置かれたままのペットボトルや缶をキッチンへもっていき、雑誌類をまとめる。
「腹減った」
冷蔵庫の中を調べたが飲み物しか入っていないし冷凍食品もない。帰るにしても千坂を起こさねばならない。
「千坂さん、起きてください」
身体を揺さぶると唸り声をあげうっすらと目を開ける。
「あ、千坂さん」
顔を近づけると、腕が伸びてきて押さえつけられてしまう。
「ちょっと千坂さん、寝ぼけてないで起きてくださいよ」
軽く数回、腕を叩くと、ぼんやりとした目がこちらに向けられる。
「あ……、ももかわ?」
寝起きまで色男だなと心の中でぼやく。
「そうですよ。起きてください」
「えっ」
腕が離れて、百川が千坂から離れるとベッドに正座をし、
「ごめん、やらかした」
と頭を下げた。どうやら酔っぱらっていても何をしたか覚えていたらしい。
「酔ってましたからね」
呆れつつ、そう口にすると千坂さんがへらりと笑う。
「部屋、汚くて驚いただろ?」
引いたかと聞かれて、百川は素直にうなずいた。
「だよな」
「はい。なので軽く掃除しておきましたよ」
「え、まじで」
ベッドからおり、寝室を眺め、そしてリビングへと向かう。
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