俺はオカンじゃありません

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「おお、綺麗になってる」  凄いなと言われ、逆にあれだけ汚せる千坂さんの方がすごいわ。 「ゴミを袋に入れて、雑誌や本をまとめ、食器を洗っただけです。あの、後は自分でやってくださいね。俺、帰りますんで」  上着と鞄を持ち、玄関へ向かおうとすると腕をつかまれ引きとめられる。 「まて。飯、おごるからさ、もう少しだけ手伝ってくれない?」  お願いと手を合わせて首を傾げる。  かっこいい男性に甘えられて女子なら喜ぶだろうなと思いながら、普段お世話になっている先輩なので、いいですよと頷いた。 「よし。それならまずは飯か」 「あの、掃除機と洗濯ものだしてください。俺が掃除している間、適当に食うもの買ってきてもらえます?」 「わかった。掃除機はバスルームにある。洗濯物はこれ全部」  散らばっていた服は一応ひとまとめにしておいたのだが、全部、洗濯物だったのか。あの部屋を見た後だからか、やっぱりな思うだけだった。 「わかりました。俺、腹減っているんで急いで行ってきてくださいね」  千坂を追い出し、洗濯を開始し、掃除機をかける。  テーブルや棚はウェットティッシュで拭き、フローリングモップで床を拭いた。
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