のり弁騒動

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 のり弁、特のり弁、から揚げ弁当の4個入りか6個入り、柿の種かはげあたまで、二人は戦っている。  もはや守るべき主を放置し、自己主張が曲げられなくなっているのだ。絶対に負けぬ、と気合いが凄まじい。  『柿の種でやっぱりのり弁になったのだから、のり弁だ!』  『こいつは今、特のり弁を指さしてるぞ!』    特殊能力を持った人からすると、真ん中に若い男性を挟んで左右に変なオッサン、という3人組に()えるかもしれない。  まるで仲良く「何にする?」、「あ、俺はー」、「わしはー」と各々の弁当を選んでいる光景だ。  しかし若者は二人の気配などまるで感じていない。自分を間に、ものすごく妙な戦いが繰り広げられているなんて、想像すらしないだろう。  「あ」  『んん?』  「やっぱ違うな〜」  『こいつ、何を?』  『むむ、おそらくハンバーグ弁当とみる』  『和風おろしか?デミグラスソースか?』  『知るか!』  『あんたがハンバーグ弁当だって言ったんだべや』  『その辺りを見とったんじゃ!』    また、くだらないことで言い合いを始める・・・。  「肉野菜炒めは時間かかるしなぁ」  『おい!違うじゃねえか!』  『のぁ〜!!』  山伏は錫杖を床にダンっとつき、作業員はホイッスルをピリリリリリ−!と吹いた。  
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