1人が本棚に入れています
本棚に追加
のり弁、特のり弁、から揚げ弁当の4個入りか6個入り、柿の種かはげあたまで、二人は戦っている。
もはや守るべき主を放置し、自己主張が曲げられなくなっているのだ。絶対に負けぬ、と気合いが凄まじい。
『柿の種でやっぱりのり弁になったのだから、のり弁だ!』
『こいつは今、特のり弁を指さしてるぞ!』
特殊能力を持った人からすると、真ん中に若い男性を挟んで左右に変なオッサン、という3人組に視えるかもしれない。
まるで仲良く「何にする?」、「あ、俺はー」、「わしはー」と各々の弁当を選んでいる光景だ。
しかし若者は二人の気配などまるで感じていない。自分を間に、ものすごく妙な戦いが繰り広げられているなんて、想像すらしないだろう。
「あ」
『んん?』
「やっぱ違うな〜」
『こいつ、何を?』
『むむ、おそらくハンバーグ弁当とみる』
『和風おろしか?デミグラスソースか?』
『知るか!』
『あんたがハンバーグ弁当だって言ったんだべや』
『その辺りを見とったんじゃ!』
また、くだらないことで言い合いを始める・・・。
「肉野菜炒めは時間かかるしなぁ」
『おい!違うじゃねえか!』
『のぁ〜!!』
山伏は錫杖を床にダンっとつき、作業員はホイッスルをピリリリリリ−!と吹いた。
最初のコメントを投稿しよう!