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自分にとって大半がそうだ。学校も、そこにある人間関係も、実家も、今住んでいるマンスリーマンションも、食事も、何もかもが「どうでもいい」ものであって、それ以上もそれ以下も無い。
両親については、きっと好ましいものであったはずだが、あの一件以来「どうでもいい」ものの一つになったような気がする。もう何にも興味が無くなった、と言った方が正しいのかもしれない。
「まだやってくのか?」
突然近くで声がして驚いて顔を上げる。少し離れた席に陽川花火が座っていた。
「勉強好きなんだな。俺は幼稚園でもうダメでさ」
いつからそこに居たのだろう。一応彼も何か読まなければと思ったのか、彼の座っているところには三国志の漫画が数冊置かれている。
学校司書の女性が戸締りを始めているのを見て、問題集を鞄に仕舞い、席を立った。
陽川花火が漫画を片付ける姿を横目に見、図書室を出る。昇降口で靴を履き替え足早に校門に向かった。が、そこで走ってきた陽川花火に追い付かれてしまった。
しかし、こうなったら言おうと思っていたことを伝えよう。そうしなければ、この面倒事が続くことになる。
「もう僕に関わるな」
「なんで?」
「……面倒事は沢山なんだ」
脳裏にちらつくのは、数か月前の出来事。これ以上何も問題を起こしたくはない。
「何が面倒なんだ?」
「君が邪魔だってことだよ。そうやって付き纏われると迷惑だ」
校門を出ても付いてくるので、道の脇に寄って足を止めた。
「俺のことが嫌いってこと?」
「……そうだよ」
僕は目を丸くしている陽川花火を見て視線を逸らした。嫌い、と言うほどでもないが、彼を遠ざけるには強い言葉が必要だ。ちらりと黙っている彼に視線を戻すと、「へえ」と言って笑った。
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