生死が隣り合わせの毎日に……

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ

生死が隣り合わせの毎日に……

「ぼくは今、 道端に横たわって居る。 好きでこんな場所に居るのでは無い、 何時もの場所で偶然がそうさせたからだ。 この景色も悪くは無い、 でもね、以前より身動きが取れないんだ。 運良く、今日は雨降りではない 心地よい風を感じてる。 まだ夜明け前だから、 通りかかる車のライトが眩しいだけだ。 今までが幸せだったとか、 今在るこのぼくが不幸かはわからない。 きっと、何もかもが偶然で 始まりと終わりの始まりかもしれない。 風を感じなくなると意識が遠くなる、 瞼の力も緩んでくると眼の前で転がる 落ち葉で風の様子はわかっていた。 さぁ、お迎えが来たようだ…… この世界とは別れを告げなければならない。 これからは、どんな世界が待っているのかな?身体の感覚が無くなってきたから、 少し休むことにするよ。 微かに匂う、東雲の風を嗅ぎながら…… 。」 ある通勤の朝、通い慣れている道端に 車に轢かれた黒い猫を見つけた。 きっとそんな最後の独り言を言っているのだろうと、車を停めて偶然載せていた毛布に包み、また車を走らせた。会社とは反対方向の動物用火葬場に向かったぼくだった……この日は会社をズル休みした。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!