永遠の眠りにつく前に

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心に入った小さいヒビは瞬く間に広がっていく。 まるで脆いガラスのように。 街中で龍臣と後輩を見かけた日、楽しそうに笑い合う2人を見て、 私は自分の居場所なんてとっくになかったことに気が付いた。 この日この時、世界は完全に消え去った。 その日の夜、永遠の眠りにつくことにした。 生きていたって幸せになんかなれない。 欲しいものは手に入らない。 ズタズタに傷付いた心から血が流れる。 これ以上切りつけられる場所なんてもはやない。 もし心が目に見えるのなら、 連動して体から血が流れるなら、 自分で手を下さずともそのまま眠るように終わらせられたのに。 頭が割れるように痛い。身体に力が入らない。 薄れゆく記憶の中で、ただ天井の白を眺めていた。 するとその時、 懐かしい声が響いてきた。 「死なないで」 「ごめんなさい。私たちがあなたを愛しているから。」 何度も何度も消え入るように聞こえたのは、 母の声だった。
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