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夫との約束
まいは夫の目を見てにこやかにいった。
『話してくれてありがとう。あなたの話を聞いて、その思い出のお子さまランチがあなたにとってどんなに大切なものだったか、よくわかったわ。それを格好悪いとか男らしくないとか思うはずないじゃない。』
『私に遠慮しないで、ぜひこれからも定期的にそのお店に通って。』
『まい。。ありがとう。』まさしは安堵して心からお礼を言った。
『でね。あなたに約束してほしいお願いごとが3つあるの。』
『なんだい。僕に出来ることならなんでも。』まさしは真面目な表情になって舞に尋ねた。
舞が口にした約束は次のようなものだった。
一つ目。一度だけで良い。まさしが通っているお子さまランチの店に自分も連れていってほしいということ。まさしに癒しをあたえるその店がどんな店でどんな素敵なお子さまランチを出すのか知りたいということ。
二つ目。まさしが高校生の頃、友人たちにふるまったオムライスを自分にも作ってほしいということ。まさしの手と頭はきっと今でも作り方を覚えているはずだし、自分もぜひ食べてみたいからということ。
三つ目。今度まさしの実家に帰省するときにまさしが子供の頃大好きだった、ご夫婦がやっているファミリーレストランを一緒に訪れたいということ。
舞はいたずらっぽく笑ってお願いしたのだった。
まさしはまいが約束してほしいという三つのお願い事を聞くと目を潤ませ、泣き笑いの表情でうなずいた。『もちろんだよ。絶対約束する。』
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