夫の秘密

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夫の秘密

結婚して一年三ヶ月。最近、舞は夫のまさしの様子が少し気になる。 職場で新しい仕事を任されたらしく、残業で帰りが遅くなる日々が続いている。初めのうちは、はりきっていた夫だが、しばらくするとプレッシャーや疲労の蓄積からか、何度もため息をつき、食欲も落ち夜もあまり眠れていないようで舞は夫の身体を心配した。 しかし、ある日を境に夫は元気を取り戻した。 帰りが遅いのは相変わらずだが、帰宅時にそれほど疲れた様子はなく、むしろ心身にエネルギーがみなぎり満たされているような印象を受ける。仕事がうまくいっているのなら良いのだが、残業帰りの夫からはいつも甘酸っぱいような香りがしてくるのだ。 ふだんの夫は以前と変わらず優しい。3ヶ月前の結婚記念日にはサプライズでプロポーズの時に使ったフレンチレストランを予約してくれ、可愛らしい花束のプレゼントもあり、舞を感動させた。そんな夫に限ってまさか浮気なんて もんもんと考え込んでいると、夫が帰ってきた。『ただいまー』『おかえり。すぐご飯にするね。』舞は立ち上がり、食卓に夕食を並べた。今日は筑前煮と焼き魚だ。 『いただきます』一時期、食欲が落ちていた夫だが、今はすっかり元通りで舞の手料理をきれいに平らげてくれる。 『ごちそうさま。今日もうまかったよ。』夫の様子にほっとして、食器の片付けを済ますと二人でソファーに座り、テレビを見ながら団らんする。夜11時、『そろそろ寝ようか』という夫の言葉を境に二人は立ち上がって夫婦の寝室に向かう。 『舞。明日は残業だから夕食はいらないよ。朝も早出だから舞は眠っていていいからな。』夫の言葉に舞は平静を装いながらも内心は動揺で心臓がドキドキしていた。
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