【1日目】

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「パソコンはこれね。使い方は判るよねえ、パスコードは好きに変えてくれていいから」 言われるがままに机の上のパソコンを起動させた、部署で共有しているフォルダーなどを説明してもらい、画面上で仕事を進め方も聞く。 「んで、仕事を受けると、元は設計部が設計すんだけど小さい直しはいちいち設計部に回すのが面倒なんで、営業部の設計にやってもらうわけ。その加減は上の判断かなあ」 「ああ、設計係」 ひょこっと頭を伸ばしてそこを確認した、隣の島で、数人の女子の背中が見える。 (なるほど、あそこが女が多いのか) 「紹介する?」 長島の心を読んだように月尾は言う、長島は笑顔でお願いしますと答えた。よし来たと膝を叩き立ち上がる月尾についていく。 「設計係の皆さんです」 月尾はざっくりと紹介した、皆は椅子に座ったまま頭を下げ、うちふたりは離れたCAD用のPCが並ぶ場所から、立ち上がり頭を下げる。 長島は頭を下げてから一瞥した、ひときわ若いと見える女子をCAD用PCの前で見つける、その瞬間看破した、この子が藤代奈々であると。 やや小柄と見えるが、制服の下のボディラインは痩せすぎず太りすぎず、なかなかのものである。 (アリじゃん) 思った瞬間、係長の橋向が「よろしくね」と声をかけたので焦った。 「はい、お世話になります」 言いながら顔を見つめる、この美女もアリだが、なにせ年上だ、もしもの時の為に取っておこうと思った。 席に戻ると、画面の封筒のマークが点滅していた。 「あ、これね。社内メールの着信。開いてみ」 カーソルを当ててクリックする。庶務の石沢からだった。 『本日も業務、お疲れ様です。 さて、新入社員の歓迎会を行いたいと思います。本日中に参加の可否を返信願います。 記 明日4月2日(金) 18:30より 地下2階・居酒屋『琥珀亭』にて なお、金原部長より補助がありますので、参加費はおひとりさま1,000円でお願います。 また、来週月曜日は社長主催でお花見を致します。こちらは会費はゼロ円ですので、皆さまふるってご参加ください。 こちらは参加の可否の連絡は要りません、皆さま現地集合現地解散でお願いします。花見の内容に関しては、リクリエーション係にお問い合わせください。 以上』 読んで、長島は気が重くなる。 「やっぱ、こういうのは行かないといけませんか?」
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