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大勢で騒ぐのは嫌いではないが、周りが年上ばかりなのは気が重い。
「別に無理にとは言わないよ、単に長っちをダシに飲みたいだけで、でも長っちが行かなくっても飲みにはいくよ」
現に、居酒屋の予約も二週間も前に入れていたのだ。
「そおっすねぇ……」
乗り気はしない、だが女子と会話するチャンスにもなる。
長島は参加する旨を返信した。
*
昼休みのチャイムが鳴る、月尾はパソコンを終了させて立ち上がった。
「長っちは、ご飯は? 外?」
「はい、何も持ってきてません」
「んじゃ行こうぜ」
月尾は椅子の背に掛けていたジャケットを羽織りながら言う。長島は机に置いていたスマートフォンをジャケットのポケットに押し込みながら立ち上がった。
目を上げると女子がわいわい言いながら会議室に入っていくのが見えた。
「そう、女子は案外固まって食べてる、長っちも手弁当だったら混ぜてもらえば?」
「ええー(それはいいかも)」
他の2課の者も一緒に行くようだ、ふと見ると部長の金原友弥は、机に和柄のナフキンで包まれた弁当を出していた。
(へえ、部長は弁当なのか、愛妻弁当的な? さすがに女子とは食べないのか)
その姿を横目に見ながら、月尾を後をついて出て行く。
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