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酔ってない奴に限って見栄を張る、そもそもその方言は間違ってないかと思いながら、友弥は「はいはい」と受け入れる。
「もう、わたしにもみせてくだしゃい! よっぱらってなんでもはなしちゃう、ともくんを! わたしのじまんばなししてたってきいてましゅよ!」
確実に酔いが回っているなと友弥は呆れる。
「判った、判った。今は歩くことに集中しろ」
「ふわーい」
返事をし、完全に友弥にもたれかかる。
「ともくんー、もう、あるけましぇーん」
ぴたりと足を止め、そこに座り込みそうになる。
「おいおい、家まで少しだ、頑張れ」
「むりぃ、おんぶー」
「そんなスカートを履いていて何を言う」
膝上丈のフレアスカートだ。
「じゃああ、まえみたく、おひめさまだっこー」
「それも却下だ、余計に中が見えるだろう」
スカートの中身だ。
「それにあれは距離が近かったから運べたが、家までは無理だ」
「ひどい! わたしがおもいとでも!」
「重くない、重くない。でも頑張って歩け」
脇を抱えられ、奈々は引きずられるように歩いていく。
海に近いタワーマンションに入っていく、上層階へ行くエレベーターのボタンを押した、幸いすぐにドアが開く。
乗り込むと奈々は笑顔で友弥に抱き着いた。
「ともくんー」
首に回した腕で友弥にぶら下がる。
「はいはい、もう少しで家だ、頑張れ」
そっと背中をさすりながら支える。
「ともくん」
奈々の腕に力が入った、擦りつけるように体をずり上げ、腕の輪を小さくすると互いの顔が近づいた。
最初にキスをしたのは奈々からだ、だがその体を抱き寄せ後頭部を手の平で固定し舌で口をこじ開け、深いキスにしたのは友弥だった。
粘着質な水音がいやらしく響く、それを破ったのはエレベーターの停止を知らせる音だった、静かにドアが開く。
名残惜しそうに唇は離れ、抱き寄せあったまま玄関へ向かう。
友弥が開けたドアに奈々が先に入っていく、だがすぐさま脇の壁に寄り掛かってしまう。
「大丈夫か、倒れるならベッドにしろ」
鍵を締めながら優しく言う。
「もぉ、だめぇ」
甘えた声で答える。
「全く、しかたない」
「くつ、脱がせてくださぁい」
「はいはい」
素直に身を屈めた友弥の頭に、奈々は自身のスカートを捲りふんわりと掛けた。
「──なにを」
「がまんできませぇん」
スカートごと友弥の頭を固定し、自身の股間を押し当てる。ストッキングと下着に守られたその場所に友弥は鼻を埋めることになる。
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