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キツネの住むあなぐらの前に村人が祠を建てた頃、
キツネは自分がどうやら普通より長く生きているらしいと気づきました。
キツネはそのめずらしい毛の色と重ねた年月から、
何をするでもないのにその山の神様と信じられていたのです。
せっかくなのでキツネは祠に住むことにしました。
小さく粗末な祠でしたが、
あなぐらよりも暖かくキツネはすぐにそのすみかを気に入りました。
たくさんの村人が、
野良仕事のついでに気まぐれに、
またはそのためにやってきて一心に、
祠を拝んでいきました。
キツネは祠の中から、
時にはあくびをしながらその様子を眺めていました。
祠に住みついていても、
キツネは見た目が珍しくて長生きなだけのただのキツネです。
神様として拝まれることは、
キツネにとってどうでもよいことだったのです。
――その子どもが来るまでは。
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