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「止まりなさい!ここは僕たちのテリトリーなんですけど!?」  風を切る感覚は心地良い。 暗闇に入ってから縮こまってばかりだった分、 全身への刺激が気持ち良くて堪らない。 「言っても聞かないだろ!あんたたち潰しておやり!」  何事も慣れだ。 私は水を蹴って飛び上がり、向かってくる黒い塊に肘鉄を見舞った。 奴らがひるんだ隙に、着地に間をおかず後ろ蹴りを食らわす。 「何やってんだい!あいつは弱いんだよ!? 直接殴れなくても水をかける程度で」 「それはお互い様だろうが」 前方に水を撥ね飛ばす。 哀れな断末魔がこだまする通路を走っていく。 「そんな馬鹿な…こんな深いとこまで 侵入者が入れたことないのに!」 体は少し溶け始めていたが、 私はしきりに記憶を反芻して気持ちを奮い立たせた。 「その宝珠を持って奥まで行け。 宝珠には"始まり"を始める能力がある」 _私たちに下された使命はこうだった。 もし体が全て溶けてしまっても、宝珠さえ守りきれれば。
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