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うら
マサヒコから離れ走り始めた小百合は、見えなくなったあたりからスピードを増し、新幹線を抜かすほどの速さで街を駆け抜けていった。そのスピードはグングンあがり、さっきまで着ていた薄紅のワンピースは剥がれ落ち、いつものジャンプスーツに戻る。そして人気のないところからヒュンと空へ飛び立つと、夜空に一筋の光が。
そしてあっという間に海を越え山を越え、目的地に着く。
「ウルトラハニー見参!」
ギャウォーンッ!
遠く離れた島に突如現れたブタワン星人。こいつは島にいる人間をブタに変え、自らの腹ごしらえのためにブタを捕まえてはボイルして食している。
「許せないッ!」
ウルトラハニーはブタを丸ごとボイルして愉しむブタワン星人の背後からキックした。すると食事を台無しにされたブタワンの顔が怒りで紅潮する。
ドドっドドっとブタワンはウルトラハニーに向かって体当たり。しかし瞬時に両手で壁を作りブタワンを弾く。
「アンタなんかに絶対負けられないわッ!」
そしてウルトラハニーはポケットから肉玉を放ると、ブタワンは匂いにつられて食らいつく。肉玉を噛み砕きゴックンとそれを飲み込むと、ブタワンは睡魔に襲われ眠った。
「そのお腹に入った人間を取り戻すッ!」
ウルトラハニーは眠ったブタワンのお腹を切り裂き、腹の中で人間に戻っていた数名が胃酸で溶かされる前に助け出した。
「ありがとう、ウルトラハニー!」
3分が経過するとピコンピコンと胸元のランプが点滅し、ウルトラハニーはビュワッと飛び立ち自宅に戻る。
「マサヒコさんにバレないようにお見合いを成功させなければ。私ももう還暦。
これが最後のお見合いとなりますように」
《 完 》
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