26人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
おもて
「私の王子さま、ごめんなさい。門限の12時には帰らなくてはならないの」
「小百合さん。今どき門限など、若い2人には必要ないでしょう」
「いえ。私は親と約束したのですから守りたいのです」
「何という儚さ。僕と結婚したら貴女はそうやって僕のために時間を守ってくださるのですか」
「当然ですわ、だって私は……。あっ! 蛍の光が流れているッ。マサヒコさん、さよならッ」
「小百合さんッ!」
小百合はキラリとしたものを落とした。マサヒコはそれを拾い、小百合への想いを深めていく。
「何て美しい。そして何て素敵な女性なんだ。お見合い初日にこんな可憐な一面を僕に見せてくれるなんて」
マサヒコと小百合のお見合いはドラマのワンシーンのようだった。小百合はカッカッカッとヒールの音を残し走り去ってゆく。
最初のコメントを投稿しよう!