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「何笑ってんだよ。」
「笑ってないですよ。……ぷ、くく。」
「人の顔見て笑うなんて失礼なやつだな。」
「だって、せ、生徒会長可愛いから。」
私の言葉にグッと眉を寄せ、何言ってんだと言いたげな顔を見せる。
……可愛いなんて気に触っちゃったのかな。
でも、本当のことだし。
「俺は、不破 璃人だ。生徒会長って名前じゃない。」
「えー!そこだったの!?」
どうやら、可愛いという言葉より、生徒会長と呼んだことが気に入らなかったらしい。
「俺の名前、言ってみ?」
「不破……生徒会長。」
ゆっくりそう言うと、まだ不満そうな顔で私に近づいてくる。
「もう一回。」
「不破、先輩。」
「もう一回。」
「不破 璃人さん。」
まるで吸い込まれてしまいそうなキレイな璃人の瞳から目がそらせない。
ドキドキと心拍数も上がって、頬が紅潮していくのも自分でわかる。
「もう、一回。名前で。」
「り、り、璃人……さん。」
その言葉に不満げな顔から一転、クシャっと笑って見せる。
そしてそのまま私の頭をポンポンっと撫でた。
「うん。よろしい。うさぎちゃん。」
「…………。」
うさぎちゃんと呼ばれたことなんて全く気にならなかった。
今にも心臓が口から飛び出してきそうで。
バクバクとそのまま破裂しそうで。
「これから、生徒会長室に俺が呼んだ必ず来いよ。」
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