第一話-勧誘-

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第一話-勧誘-

4月のある晴れた朝だった。俺に近づいてきたあいつのはじめの一言はこうだった。 「what sport do you like?」 いや、第一声というよりは第二声だった。  俺の入学してきた神ヶ丘中学校はふつーな高校だ。特に、勉強ができるとか部活が強いとか、就職しやすいでもない。至ってふつーな高校。俺はそこにきた大事な理由がある。好きな人がいる?いねーよー。じゃあ、適当に選んだんだろって?そんなこと俺はしないぜ。その理由は「家が近い」からだ。徒歩で2分、車なら30秒ちょいのところ。なんなら学校のチャイムが聞こえてくるほどに近い。  そんな正当な理由で入学したこの学校にも、部活があるんだ。ただ、俺は入りたくない。そう、俺は家に帰ってゲームがしたいのだ。最近流行っているホッケモンをやりたいのだ!  そんな俺が長い長い入学式を終え、教室でのロングホールルームを終えて帰ろうと校舎から出ていくところだ。中学まで友達と呼べる人は数人しかおらず、その数人は他校に行ってしまったので、俺は今一人で帰ろうと靴箱のところにいる。別にそれが嫌ってわけじゃないけど、それを眺めてみてくる周りの連中には嫌気が差してくる。そんなことを思い靴箱から靴を取り出しそれに履き替え校舎から校門に続く桜が綺麗な外道を通って、校門付近に来ていた。しかし、このあたりになってくると音が騒がしくなる。おそらく部活動の勧誘だろう。俺には関係のないことだ。俺は校門に向かって早歩きでかなりの人数の合間を通り抜けようとした。その時、急に腕を引っ張られ、とあるブースに入った。いや、入れられた。の方が正しい。そこには俺を連れてきた「強引な」スポーツ系の男子生徒、そしてそいつと俺を長テーブルで区切って「外国人のような赤毛」な女子と、落ち着きのある背の高い女子の二人がいた。  「what sport do you like ?」 赤毛の女の子が聞いてきた。  「ちょっと英語はダメって言ってるでしょ?一応ここ日本なんだからー」 落ち着きある方が赤毛にそう言って彼女の方を見る。いやいや、これくらい中学で習ってきたし。少しだけムカついた。が、俺は即答した。   「l don’t like sports.decause l don’t like sports.」 当たり前だ。ここでそのスポーツを言ってしまっては勧誘されるに決まってる。ここは、スポーツ好きじゃない=部活入りませんって意味になるもんな。これで相手側も諦めてくれr 「よし、じゃあ大丈夫だね」 赤毛の子と静かな方、そして強引なやつは口を揃えて言った。 「は?」 俺はそう答えてしまった。
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