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〜覚悟〜
ユノから離れて一週間が経った
相変わらず老婆は、何も聞かずに僕に優しくしてくれる
「ねえ…おばあさん…僕、何か手伝います!ここに置いててくれるお礼がしたいんです!」
「そうかい…じゃあ、私の仕事を手伝ってくれるかい?」
そう言うと、僕を海に連れてきた
「私もね…長年、海女の仕事をしてきたけどね、もう年だから体の自由がきかなくてねぇ…ジェジュンが手伝ってくれたら助かるよ」
そう言うと、老婆はにっこりと微笑んだ
なぜかその笑顔に懐かしさを感じ、心が温かくなった
朝早くに起きて、海女の仕事を手伝う
もうすぐ冬が近いのか、風も海も冷たい
「これ、着てみてくれるかい?」
そう言って差し出された古ぼけたウエットスーツ
袖を通すとピッタリだった…
まるで、僕の為に用意されたように。
「やっぱりね…」
そう言うと、老婆は微笑んだ。
「えっ…?」
やっぱり?
「それね、娘が着ていたの」
「…そうなんですか…娘さんも海女の仕事を?」
「ええ。でも、30年前にね、海の事故で、突然亡くなってしまったのよ…」
「ーっ!?、、そうだったんね、、ごめんなさい…辛い事、思い出させてしまって…」
「ううん…いいのよ。ジェジュン、あなたが居てくれると、まるで娘が帰ってきたように、楽しいのよ…フフ…だから、迷惑じゃなければ、ずっと此処に居てくれると嬉しいわ。」
「…ありがとうございます!助かります」
…ユノ
僕は、此処で生きていくよ…
ユノの思い出と共に。
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