真夏の雫

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 ほどよくしてゲームを止めると、若い二人は一緒に風呂に入った。一緒にといっても、浴槽には一人しか入れないためもう一人はシャワーを浴びる。それを何回か繰り返す入浴となった。  先に夏美が風呂から上がったが秋吾は長湯のため、まだ浴槽に浸かっていた。しばらくすると、ドライヤーの滝のような轟音が聞こえてきた。その頃には長湯の秋吾も風呂から出たかったが、それは止めておいた。  というのも、風呂から出てしまうと、秋吾は夏美に裸を見られしまう。  おいおい、さっき、一緒に風呂に入って裸の付き合いをしていたじゃないか、と思うかもしれないが、相手は服を着ていて秋吾は服を着ていない。同じ土俵にいるならば多少の恥じらいで済むのだが、土俵が違うと月とスッポン、鯨と鰯、雲泥の差を感じ、恥ずかしくなってしまう。  ドライヤーの音が消え、居間に行った物音を耳を大きくして確認した秋吾は、風呂から上りフェイスタオルで髪を乾かした。
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