32. 黒蜘蛛のシナリオ:終幕

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32. 黒蜘蛛のシナリオ:終幕

 鐘塔を降りた黒蜘蛛(くろくも)(きみ)は、入り口の扉の鎖に元通り南京錠を掛けた。この塔が使われていないことは誰もが知っている。鍵のかかった扉をこじあけようなどと考える者はいないだろう。  中に取り残されたシャロルは声を出せない。得意の歌で助けを呼ぶこともできはしない。  彼女に気付く者は誰もいないはず――そう信じるだけの要因は充分だった。 ***
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