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「できたーーーー!」
快哉を叫ぶ勇騎。かたやパラドは心無しかぐったりしている。
「悪いなパラド、ちょーっとばかりウイルス採取しすぎた」
うわぁ…コイツ、ドSや。
俺の他、みんなそう思ったけど誰も言わなかった。
「…こ、心が萎える」
うぉい!出撃前にテンション下がんな!
このツッコミがいのあるやり取りに俺は思い切りツッコみそうになったが、場の空気がそれを許さなかった。
「…パラドが回復したらコイツでゲムデウスを追う。」
勇騎が見せたのはパラドの持つガシャットに似た銀色のガシャットだった。ラベルも何も貼られていない。
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「さぁ、パラド頼んだぜ?」
すっかり元気になったパラドが先程のガシャットのダイヤルを回す。
『RIDERS QUEST CHRONICLE…!』
そんな音声とともに、異空間が展開していく。
俺、勇騎、パラド、凪川、西園寺は飲み込まれていく。
ーーーーー目の前に広がるのは、荒涼たる景色。
前方には奇妙な顔の様な形状の城が見える。
『Excellent!まさか新たなガシャットを作って私を喚び出すとは…中々coolなことをするじゃないか、Mr.Game of RIDER'S』
目の前に現れる壮年の男。おそらくゲムデウスの人間体だろう。
「どっかで聞いた渾名だな。ま、い「真由を元に戻せ!」
台詞を被せられて顔を顰める勇騎だが、俺からすれば悠長な事は言ってられない。勇騎もそれを慮ったのか、特に口は挟んでこなかった。
「それはこのゲームをクリアしなければ不可能だ、Mr.神崎…いわば妹は助けを待つヒロイン。神崎は仲間と共に姫を救う勇者という訳だ…!エネミーを倒し、最上階に来るがいい…!」
そう言い残し、ゲムデウスは消えた。
「よっし…!やってやらぁ!」
まずはウォーミングアップという所か。
現れたのは大量のバグスター。
「まずは私が先陣を切らせていただきましょうか」
1歩進んだのは凪川…さん。
「言い難いなら呼び捨てで構いませんよ?」
モノローグにツッコまないでくれ。
「……。」『タドルクエスト!』
すまし顔で宝石から力を引き出す。
「第2試合…変身」
『ガッチャーン!レベルアップ!タドルメグル!タドルメグル!タドルクエスト!』
空青の鎧を纏った騎士、ブレイブ レベル2へと変身する凪川…さん。
即座に長剣のAボタンを押す。
『コ・チーン!』
刃が氷の青に染まり…
「そこです!」
突き立てた所から前方放射状に氷は拡がっていき、前から来るバグスターウイルスを全て凍らせてしまったのだ。
「うそーん…」
凪川が変身しているのは見立てが間違ってなければ、レベルは2。
俺達のそれを遥かに超える活躍を見せつけられ、この人は絶対に怒らせないようにしようと固く心に誓いました。まる。
さて、いくか…。
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