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その日、神崎俊哉は珍しく暇を持て余していた。
真由は学校の後にバイト、かたや休みかつ夕飯の支度も既に済んでしまっている。(今昼過ぎなんだけどな)
ここまで何もすることがないと、どうしたものか…。
「…久々にゲーセン行ってみようかな」
この選択がまた、新たな騒動に巻き込まれる事態に繋がるとは露とも思わなかった。
ーーーーー30分後
俺は少し古びたレトロ感のあるデパート(ほぼ閉店開業ばりに人がいない)に来ていた。
ライダージュエルが流行る前に一世を風靡したデータカードゲーム「ガンバライジング」。
最近筐体自体がもう見かけるのも珍しい天然記念物だが、このデパートには置いてあるのだ。
「さーて!久々に楽し…マジか」
見れば画面には“カード切れ”の文字。
別にカードを買うのが目的ではなく遊びに来たのだが、やはり萎える。
「…時代に取り残されたーってか」
諦めて帰ろうとしたその時。
妙な気配を感じた。
人っ子一人居ない(それは言い過ぎか)空間を見渡すと、一人の男が息苦しそうに…それも傷だらけでベンチに寝転がっている。
「…アンタ、大丈夫か?」
問いかけてみるが反応がない。
「あ」
ポケットから落ちるゲンムのジュエル。
その落ちた音と共に、男が目を見開いた。
「ここは…」
「デパートの中だよ中。つーか傷大丈夫か?」
「!!」
そう言われて男は手近な柱の鏡で顔を確認する。
これが俺、神崎俊哉とバグスターのパラドとの奇妙な出会いだった。
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