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戦いは苛烈を極めた。
そして俺たちはそれぞれ新たな力を…
「ってダイジェストで終わらすなぁ!てかパラドォ!お前容赦なさすぎだろォ!見ろ真由を!ズタボロになってんじゃねえか!」
見れば真由は息も絶え絶え。
俺も変わらないくらいにズタボロである。
「なんだよ、ちょいちょい回復のエナジーアイテム投げてやってたろ?」
圧倒的なレベル差の中、俺達が“ズタボロ程度”で済んだのはそのおかげか。
「…どうするかなー」
曰く、俺のレベルX《エックス》へのルートは“死のデータ”を何度も蓄積する必要があるらしい。
今までの戦いの中でも蓄積していたのでスグだと言うのだが…。
「しんどい…」
修行ルートがここまでキツいとは。
かの有名な戦闘民族には頭が上がらなくなるなこりゃ。
「お、お兄ちゃん…私まだ…やる!」
弱音を吐いた俺に対して、真由はまだ気合い十分。
自分が弱音を吐いたことが情けなくなる。
「その意気だ!さあ、遊ぼうぜ!」
オイ遊ぶとか言うなし。
「神崎はギブアップか?」
挑発的なパラドの言葉に…。
「んだと!やってやんよォ!!」
煽られてしまいました。煽り耐性弱いなぁ俺…。後々思い返して後悔したのは、言うまでもない。
「よし、ここからはアイテムなしのガチンコ勝負といこうぜ?」
『KNOCK OUT FIGHTER!』
「「え"…!?」」
先程までだって、回復のアイテムをパラドに分け与えてもらいながらだったというのに…。
勝てる気がしない…。
「や、やるしかないよお兄ちゃん!」
「お、おう…!」
真由はなぜここまでやる気なのか。
理由は…。
「勇騎さんや輝君達の足を引っ張ってられないもん!私も強くならなくっちゃ!」
その言葉が引鉄だった…。
「あ"ぁ"…?ぐ、ぉぉぉおおおお…!」
「何もしてないのに死のデータが…!?」
ある意味俺にとっては“死”なんだよこれも。
筆頭でその二人の名前を出されると…お兄ちゃんにとってはなァ…!!!
「お兄ちゃん…」
なんか冷たーい視線を感じるけど、それもある意味ご褒美です。
「この変態!!」
…そこはシスコンじゃないのか。
そんなことを思いながら引っぱたかれて我に返った俺と、パラドは対峙した。
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