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「あぁ、帰りましたか。家の庭も野宿出来るんですね。勉強になりました。」
大きい家に戻ると、最初に見つけたその顔は、また余計な事を言ってきた。
「あんた、それを人で試すとかとことん趣味わりーな。」
「一応寝床は用意してたんですよ?それに気づかなかった貴女が悪いです。理解して頂けますか?」
「あーはいはい、私が悪ございました。」
思ってもいない事を言うのも、上手に生きるコツだ。…と、思っている。
「では、食事と行きたいところですが、その前にお風呂に入りましょうか。」
「風呂?あ、うんそっか」
風呂に入れと言われて、一瞬戸惑う。あんまり、風呂は高級だと思うけど、今のあたしは所有物だ。綺麗な方が良いだろう。
そうして、男の人が指を鳴らすと、布?と、籠?がある所に付いた。
「ここ何?」
「風呂に入る前に、服を脱ぐ所です。」
なるほどな。貴族は小さい動作でさえも大きな空間を使うらしい。
「で、あたしは服を脱げば良いの?」
この説明的にそうだろうと、服に手をかける
「普通異性の前では、そう言う動作は恥じらうものですがね。貴女に期待しても無駄ですか。」
「そうそう、別にスラムじゃ普通だし。ってかんなんに拘っててあそこで生ききれるかっつーの」
その通りだ。何処かの娘みたいに恥じらう気持ちは腹の中に置いてきた。というより、そう言うことも多少出来る。
「私以外の異性の前では脱がないで下さいね。と言うか貴女何歳なんですか?」
「さぁね。16か17か…多分そこら辺だと思うけど?」
「曖昧ですね。まぁ、その内分かりますが。」
その言葉の意味分からなくて、首を傾げる
「え?分かるってどう言うこと?」
「貴女にも、魔力くらい分かるでしょう。私はそれが普通より、高いんです。だから、瞬間移動だって、動きを止めたりだって出来るんですよ?」
魔力と言うのは聞いたことがあった。貴族でさえ、使えるものは半分くらいで、平民ならほんの僅か。なのに、スラムのあたしが馴染み深い訳がない。だけど、それの希少さは分かる。
「へぇ…あんた結構凄いんだね。」
何て、言いながら服を脱ぎ終え風呂に入る。
「まぁ、そうですね。否定はしません。では、何かあったら呼んでください」
そう言って姿を消す
「魔力か…」
どうでも良く、あたしの人生に恐らく関わる筈のなかったもの。
でも、ほんの僅かにあたしが興味を持ったのは本当だ。
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