はじまり

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「ほう、それに決めたか。」 背後からしわがれた声がしてマスズは驚いた。 振り替えるとおばばがいた。 扉が開いた音も足音も気配すら全く気がつかなかった。 思わず構えた剣を元に戻す。 「驚かせないでください。」 「ふぉふぉふぉ、この程度で驚いてもらっては、神山ではどうなることやら」 ぐ、とマスズは言葉が詰まった。 「それよりも、その剣でいいんじゃな?」 マスズは剣を握りしめると頷いた。 「はい。」 ふむ、とおばばは頷くと 「その剣の名はタカオカミじゃ。龍神が織り込まれておる。たまに水浴びをさせるとよいぞ。」 「剣に水浴び、ですか?」 マスズがびっくりしていると、おばばは言い直した 「龍神に水浴びを、じゃ。」
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